二十四節気

 

処暑
<8月23日>

しょしょ
二十四節気のひとつ。太陽暦の8月23日頃にあたる。暑さが止むの意で、この頃から朝夕涼しくなり、めっきり秋らしくなるが、暑さのぶり返す日もある。

 

七十二候・花の七十二候

 

綿柎開
<8月23日〜27日頃>

めんぷひらく
七十二候のひとつ。「はなしべ」は、『柎』または『萼』のことで、花の萼をいう。綿の萼がはじける季節である。日本古来から木綿があったように思われるが、文禄3(1594)年内藤如安が明の国から綿の種子を得て、大和の国に植えたのが諸国に広まったとされる。江戸時代、木綿は貴重で、稲十反歩と同等の価値とされていた。それだけに綿の果実から綿毛の繊維を吹く様子は、感激の一刻であったであろう。平安時代、菊花に綿をかぶせてその香りを移し、夜露に湿らせる「菊綿」「菊の着せ綿」という日本独自の雅な風習がある。

 

 

朝顔咲誇
<8月23日〜27日頃>

あさがおさきほこる
花の七十二候のひとつ。開花時期は7月中旬頃〜10月上旬頃。熱帯アジア原産で、日本には奈良時代に中国から渡来した。朝のうちだけ開花。日陰に咲く場合は夕方頃まで咲き続けることもあり、夏から秋まで長い間咲き続ける。語源も朝に咲く美しい花という意味で、英名も「モーニング・グロリー」という。古代の中国では、朝顔は高価な薬で牛と取引されたほどのものだったので、漢名の「牽牛」はそれにちなむ。牽牛子と呼ばれていたが、今の朝顔という呼び名は、『和名抄』に「牽牛子 阿佐加保」と訓がついていたからである。

 


 

天地始粛
<8月28日〜9月1日頃>

てんちはじめてしゅくす
七十二候のひとつ。風、雲、空、月、自然の現象は、秋との出合いの一刻をみごとに演出してくれる。明けそめる朝は天地に迫り、日中はあくまでも澄み渡る青い空、そして茜色の夕空は見る見るうちに消えて暮れ行く。姿なく、色なく、音なく過ぎゆく夏の季節との別れは、すでに止めることはできない。秋との出合いの一刻を七十二候では、「粛」と言い切る。

 

 

槐咲蝶群
<8月28日〜9月1日頃>

えんじゅちょうのようにむれてさく
花の七十二候のひとつ。開花時期は7月上旬頃〜8月下旬頃。以前は日本産と思われていたが実は中国原産。地方によっては「延寿」と書いて、長寿や安産のお守りにつかわれたこともある。この木を産婦に握らせると、苦しまずに赤ちゃんが産まれるといわれ、このことから魔除け、長寿、安産、幸せの木として喜ばれ親しまれていたという。

 


 

禾乃登
<9月2日〜7日頃>

くわすなわちみのる
七十二候のひとつ。果実はしだいに色づき、ススキの穂は秋風にたなびき、見渡す限りの田面には、稲穂が頭を垂れ一面黄金色となる。秋空は、晴れていたかと思うといつの間にか陽が薄れしだいに曇ってくる。秋空はとにかく変わりやすい。稲が実って黄ばむ頃からは秋の天候は定まり、紺碧に澄みわたる空に、ゆったりと雲が流れて行く。

 

 

桔梗全開
<9月2日〜7日頃>

ききょうぜんかいする
花の七十二候のひとつ。開花時期は6月上旬頃〜9月上旬頃。秋の七草のひとつ。原産国は日本とされている。漢名の「桔梗」を音読みし「ききょう」。日本文学史上最古の長編物語『宇津保物語』では、桔梗と表されている。桔梗の名は、「更に吉」という語呂に縁起をかついだという説もある。開花直前の丸くふくらんだ状態がおもしろい。