二十四節気

 

大寒
<1月20日>

だいかん
二十四節気のひとつ。太陽暦の1月20日頃にあたる。文字通り一年中でもっとも寒さが厳しい時季で、寒稽古のまっさかりである。北日本では雪が凍りつく日々が続くが、大寒の終わりに近くなると、暖かい海辺の地方では、梅の便りも聞かれるようになる。

 

七十二候・花の七十二候

 

款冬華
<1月20日〜24日頃>

かんとうはなさく
七十二候のひとつ。もっとも寒さの厳しい冬のある朝、山裾の小径を一人歩く。山から降りてくる風は冷たく、指もかじかむ。ふと路傍をながめると、消え残る斑雪の間に緑がかった葉の玉が頭をもたげている。蕗の薹、蕗の蕾である。思いもよらぬ早春との出合い、ふっくらと頭を寄せ合う蕗の蕾に、その日1日幸せな気持ちに満たされるようである。蕗の薹は、俳句では春の季語であるが、出合いは寒中である。冬の最中、遠くに聞く早春の足音である。

 

 

臘梅擬蜜
<1月20日〜24日頃>

ろうばいみつになぞらえる
花の七十二候のひとつ。開花時期は12月下旬頃〜翌3月中旬頃。中国原産、日本へは『本草綱目啓蒙』によると、後水尾天皇(1611〜1629)頃に朝鮮半島を経て渡来したものといい、当時は唐梅、南京梅と呼ばれ、古くから伝来していた梅とは区別され、愛好家の手で植えつがれていた。正月頃から咲き出し、盆栽として観賞用とされている。これには花弁が広く大輪咲きの満月臘梅、花弁のせまい唐臘梅、花全体が黄色の素心臘梅などという品種がある。

 


 

水沢腹堅
<1月25日〜29日頃>

すいたくふくけん
七十二候のひとつ。早春もそう遠くないと思う頃、解けかけた水辺はふたたび凍てかえり、空気も冴々と真冬に戻るときがある。去りかけた冬が、行くかと思えばまた立ち帰る冬の様子を伝える一候である。空を仰げば、オリオン座が中天にある。天には冬の星座の饗宴があり、地には冬の冷たい風がかけ抜ける。こんな夜の道を辿れば、透き通るような空気の中で、足音ばかりが高く響く。

 

 

蕗薹孕苞
<1月25日〜29日頃>

ふきのとうほうにはらむ
花の七十二候のひとつ。開花時期は2月上旬頃〜3月下旬頃。「冬黄」の略で、冬に黄色い花をつけることから。このフキ属は、北半球に広く分納し、約200種ぐらいあるが、日本のフキは日本の特産で、この若葉や茎は昔から食用としている。「蕗の薹」正しくはフキの花で、天麩羅にするとおいしい。春の山菜の代表。冬ごもりから目覚めた熊が最初に口にするのがフキノトウらしい。

 


 

鶏始乳
<1月30日〜2月3日頃>

にわとりはじめてにゅうす
七十二候は最後に「鶏始めて鳥屋につく」となる。すでに「芹栄う」「水温を含む」と早春の風信を伝え、「雉始めて鳴く」と遠くに春を呼びかけ、「蕗の薹花咲く」と早春と出合い、ふたたび「水沢氷つめる」と冬に戻る。それぞれに春への思いはつのり、春はそこまで来ている。やがて昴は落ちて、まだ明けぬうちから早くも鶏が鳴き始める。雄鳥が時を告げ、雌鳥が鳥小屋に入り卵を抱く。いよいよ春の到来である。

 

 

薺生雪下
<1月30日〜2月3日頃>

なずなゆきのしたにしょうずる
花の七十二候のひとつ。開花時期は2月中旬頃〜5月中旬頃。原産地は西アジア、日本へはムギが伝えられたときに、その種子とともに、日本に渡来した帰化植物のひとつである。名前の由来は、撫でたいほど可愛い花という「愛でる花」を意味する「撫菜」からナズナになったという説がある。春の七草のひとつ。秋に芽ばえ、早春に咲き始める。中国では止血剤、ヨーロッパでは通風、赤痢などの薬として使われる。