二十四節気

 

小寒
<1月5日>

しょうかん
二十四節気のひとつ。太陽暦の1月5日頃にあたる。「寒」は冬至後5日目から節分までの30日間をいい、1月5、6日、寒に入り、小寒が15日間、大寒が15日間である。この頃、1年中でもっとも寒い日が続き、「寒の内」「寒中」ともいわれている。武芸や芸事の寒稽古がはじまるのも、この頃である。

 

七十二候・花の七十二候

 

芹乃栄
<1月5日〜9日頃>

せりすなわちさかう
七十二候のひとつ。小寒から大寒へ移り行く冬の厳寒。七十二候では、早くも春に先がけるものに出合う。その第一候は「芹栄う」である。芹はセリ科の多年草で、スズナ(ペンペン草)、ゴギョウ(ははこ草)、ハコベラ(はこべ)、仏の座(たびらこ)、スズナ(蕪菜)、スズシロ(大根菜)とともに春の七草とされ、正月の七草粥に刻んで入れる。野菜の少ない厳冬につとめて野菜を採ろうとする生活の知恵であろうか。薄氷が張る水沢の中から、浅緑色の柔らかい生の若葉が、春を待ちわびて顔を出す。といっても冬はまだ厳しく、春はまだ遠い。

 

 

春蘭微香
<1月5日〜9日頃>

しゅんらんひそかにかおる
花の七十二候のひとつ。開花時期は1月上旬頃〜3月中旬頃。ラン科の多年草。葉は多数一株に叢生し細く長く堅く、縁はざらざらしている。山野などに映え、花は一茎一花で淡黄緑色で目立たないが、かすかに香気があり「春に咲く蘭」から「春蘭」という。土筆のようにひょろひょろと茎を伸ばしている。ラン科の植物は、西洋ランと東洋ランがあり、シュンランも東洋ランの一種で日本特産である。東洋ランは中国産が多く、熱帯地のランのように華美、珍奇なものは少ないが、古来から、梅、菊、蘭、竹を四君といって愛好していた。

 


 

水泉動
<1月10日〜14日頃>

すいせんうごく
七十二候のひとつ。風は冷たく凍てかえる厳寒の最中、大地の下では、静かに春の支度が始まっている。凍りついた地中の泉がかすかに温かさを含み、しだいに湧き上がってくる。薄氷が張る水沢も、気づかぬうちに水底は温かく、次第に水面に上がってくる。寒中の水を飲めば、薬になるといわれ、この水で餅をついたり、鮭を造ったりしていた。とくに、寒中9日目の水は「寒九の水」といって、服薬に特効ありとされていた。

 

 

猫柳白尾
<1月10日〜14日頃>

ねこやなぎおをしろくする
花の七十二候のひとつ。開花時期は1月中旬から4月中旬頃。毛に覆われた銀鼠色の絹毛の花穂をつける。尾状の花補穂を猫の尻尾に見立ててこう呼ばれ、江戸時代の「川ヤナギ」はこれが主体とされている。薄ピンク色の「ピンク猫柳」という種類もある。原産地は中国、日本。別名,川柳、谷川柳、花を子犬の尾にたとえ、狗尾柳がある。『万葉集』には、「川楊、河楊」の名で四首あり、早春の河畔の趣を詠んでいる。

 


 

雉始雊
<1月15日〜19日頃>

ちはじめてなく
七十二候のひとつ。一声鋭く雉が鳴く。空気が冷えて澄んでいるからか、雉の声が高く鋭いのか、鳴き声が、枯野をわたり林を貫きわたる。雌鳥は「チョンチョン」と優しい声を出して鳴くが、雄鳥は雌鳥を呼ぶために「ケンケン」と勇ましい声で鳴く。また鳴くかと思う間もなく、再び一声、冷気の中に響きわたる。その後あたりは静寂に包まれ、余計に凍てかえるように思われる。冬の寒気を切り裂くような鋭く澄んだ一声二声は、近くまで来た春に呼びかけているに違いないが、まだまだ周辺は冬の気配そのものである。

 

 

満作踊咲
<1月15日〜19日頃>

まんさくおどりさく
花の七十二候のひとつ。開花時期は1月中旬頃〜3月下旬頃。春に他の花に先駆けて咲くので「まず咲く花」ということで、それが〝まんさく〟になっていったらしい。また、たくさん花がつくので「豊年満作」から命名されたともいわれている。日本では「万作」と書くこともある。中国にもあるが日本には「ニシキマンサク」「アカバナマンサク」「ベニマンサク」などが自生している。花が美しいので欧米でも人気があり、しばしば庭にも栽培され、近年は欧米でも公園や庭木としても観賞用として植えられている。