二十四節気

 

立冬
<11月7日>

りっとう
二十四節気のひとつ。太陽暦では11月7日頃にあたる。気圧配置も西高東低の冬型に移り、日本海側では雪空が多く、太平洋側は冬晴れが多く、顕著な差を見せている。

 

七十二候・花の七十二候

 

山茶始開
<11月7日〜11日頃>

さんちゃはじめてひらく
七十二候のひとつ。小雨しぐれる紅葉のなか、季節は足早に冬にすべり込む。漢名の「山茶」はツバキのことであるが、その読み方は、ツバキ、サザンカとはっきりしない。ひと花そのまま落ちるツバキと違い、サザンカはひとひら、ふたひらと散り、地上に落ちかねた花びらは、時雨に濡れた葉末に宿る。「山茶始めて開く」と「始めて」としているところから、「山茶」はサザンカでなければならない。冬との出会いをこのサザンカの花に見て、冬来たぞの思いを散る花びらに見る。咲いては散るうちに、冬は足を早めて、夜空には星が輝く日が続く。

 

 

龍胆長青
<11月7日〜11日頃>

りんどうあおくながし
花の七十二候のひとつ。開花時期は9月上旬頃〜11月中旬頃。原産地は、アフリカ以外の亜熱帯から熱帯。秋の代表花で、山野に自生するが秋の切り花として栽培もされる。花は、ラッパ形で筒形、五裂する。紫や青色のものが多いが、白やピンク色のものもある。切花としてよく見かけるのは、「蝦夷竜胆」や「御山竜胆」を園芸品種化したもの。日本にはリンドウの種類が多く、日本産のものでも数多く、普通リンドウと呼んでいるのはササリンドウとも呼ばれている。葉が笹型で花が濃青色の大形のものをヤマリンドウ、一名エゾリンドウといっている。

 


 

地始凍
<11月12日〜16日頃>

ちはじめてこおる
七十二候のひとつ。暦の上ではすでに冬ではあるが、最近は暖冬傾向が強く、「地始めて凍る」時季は、まだまだ遠い感じである。地上から緑が消え、天に星が輝き、周辺の自然風景がなんとなく無彩色に見える頃、道を急ぐ人の足音が一段と響くように感じられる。さり気なくではあるが、確実に一歩、一歩、冬の訪れは進行している。

 

 

柊払邪気
<11月12日〜16日頃>

ひいらぎじゃきをはらう
花の七十二候のひとつ。開花時期は11月上旬頃〜12月下旬頃。原産地は、日本、中国など東アジア。本州(福島以南)から沖縄の山地に自生している。和名の由来は、葉の縁の棘に触るとヒリヒリ痛いので、古語の「疼く」「疼ぐ」ことからとヒイラギと呼ばれている。目立たないがとてもよい香の白い花が咲き、花弁は強く反り返る。

 


 

金盞香
<11月17日〜21日頃>

きんせんこうばし
七十二候のひとつ。「金盞」は花の形から「金盞銀台」の名もあり、ヒガンバナ科の多年草、水仙の異名である。地中海沿岸原産で、日本には平安末期に中国から渡来。これが「日本水仙」で房州や伊豆半島など、暖地の海岸に自生し、北陸では福井県の越前岬一帯が有名、福井県の県花となっている。この日本水仙は秋に発芽、冬にかけて白黄の花弁をつけ、「その匂い桃より白し水仙花」と芭蕉は詠んでいる。その他の種類の西洋水仙は、2月から4月にかけて開花するのが多い。

 

 

楓帯鮮紅
<11月17日〜21日頃>

かえでせんこうをおびる
花の七十二候のひとつ。カエデ科カエデ属の総称で、北半球の温帯に160種あり、中国、ヒマラヤ地方にかけてもっとも豊富である。北アメリカには約13種があるが、なかでも、樹液からカエデ糖をとるサトウカエデが有名で、カナダの国の象徴として国旗にもその葉が描かれている。日本には26種のカエデ属があり、国土面積の割には種類数も多く形態的にも変化に富んでいる。そのなかでもイロハモミジは、山地や庭で見られ、その真赤な紅葉の美しさは日本を代表するものである。