二十四節気

 

立春
<2月4日>

りっしゅん
冬から春に移る二十四節気の最初の時節。太陽が黄経315度の位置にある日。太陽暦では2月4日頃にあたる。寒さのどん底を越えて「寒明け」が「立春」、春が立ち、かすかに膨らむ草木の芽吹きや、水辺の凍てゆるむ風情が春の気配を知らせてくれる。春の到来はまだ先のこととなるが、寒さの中で先駆けて春の気分を味わう季節の大きな変わり目である。この日以後も寒い日がしばらく続くが、この寒さを「余寒」「春寒」などといって、冬の寒さと区別している。

 

七十二候・花の七十二候

 

東風解凍
<2月4日〜8日頃>

とおふうこおりをとく
七十二候のひとつ。春風が吹きはじめ、氷を解かす北からの寒風が止み、寒気の緩んだ東風が吹きはじめる。まだ暖かな風とはいえないが、どことなく春の訪れを予感させてくれる心浮きたつ風である。里山の草木は光の中で微かに芽吹き、水辺の張りつめていた凍氷がゆるんでキラキラと動きはじめる。まさに「東風解凍」、春立ちの初めにふさわしい候である。

 

 

梅花馥郁
<2月4日〜8日頃>

ばいかふくいくたり
花の七十二候のひとつ。開花時期は1月下旬頃〜4月上旬頃。1月下旬から3月中旬まで咲き出すものがさまざまあり、咲き方も散り方もゆっくりしている。漢名「梅」の字音「メイ」、が変化して「うめ」になった、あるいは朝鮮語の「マイ」に由来したという説もある。いろいろな園芸種があり、とてもよい香りの五弁花が咲く。原産地は中国江南地区といわれているが確認されていない。

 


 

黄鴬睍睆
<2月9日〜13日頃>

こうおうけんかんす
七十二候のひとつ。酷寒の冬を耐えて越えてきた安堵感とともに、春を待つ心が日毎につのる。確かに気配は春近しではあるが、来てはまた去る気紛れな春、そんな寒い朝、鴬の「ホーッホケキョ」の鳴き声が聞こえてきた。どこで鳴いているのか姿は見せないが、うららかな春の到来を告げる鳴き声、高く澄んだ鴬の初音である。

 

 

馬酔木壷
<2月9日〜13日頃>

あせびつぼとなる
花の七十二候のひとつ。開花時期は3月上旬頃〜4月中旬頃。原産地は日本。地方によっては「あせみ」「あせぽ」と呼ばれ、壷形の花を多く咲かせる。色はうす紅色、白色のものがある。かすかな香りがあり、枝葉に「アセボチン」という有毒成分を含み、馬が食べると酔って足がなえることから「足癈」と呼ばれ、しだいに「あしび」、「あせび」となった。

 


 

魚上氷
<2月14日〜18日頃>

うおこおりにのぼる
七十二候のひとつ。水辺の春は、張りつめた薄氷がビシビシと解けだす頃から始まる。薄氷はその名のごとく薄くてすぐ壊れ、陽はとどまらずキラキラ輝いて光っている。薄氷の下、水深く隠れて寒を避けていた魚が、キラキラ輝く陽に誘われてか、深みからわずかに温む水面に誘われてか、水底を離れ、薄氷動く水面に顔を出す。

 

 

連翹粧黄
<2月14日〜18日頃>

れんぎょうきによそおう
花の七十二候のひとつ。開花時期は2月中旬頃〜4月中旬頃。中国が原産地。日本へは古く『出雲風土記』にも現れ、昔は「イタチハゼ」「イタチグサ」と呼ばれていた。「レンギョウ」の名は漢名の音読みで、枝に花のたくさんついた形が鳥の羽をひろげたようだとしてこの名がある。真鍮色または金色に咲く花はとても美しい。